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天知探偵事務所銀河支局

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2015年6月発行の『年刊 日本SF傑作選』(創元SF文庫)で読みました。
表題作にもなっています。

短い作品だけれども、なかなか味のある作品だと思う。

未来的で、機械的な描写の合間に、きわめてノスタルジックで日本的で農村的な記憶が挿入される。

幼い頃、生家の長い廊下で紙飛行機を飛ばした主人公は、大学で航空力学を学んだ後、今は宇宙の軌道ステーションで最先端の仕事をしている。

少年時代、〈本に書いてある通りに作ったつもりなのに、機体はついに両親の寝室にすら届かなかった〉のに、〈今の自分ならあれを折って飛ばせるかもしれない〉と思うところが素敵だ。


弟の飛ばした紙飛行機が地主の田んぼに落ちて、「この土地に落ちたもんは俺らのもんや」と地主の息子にいじめられた過去を見せながら、宇宙では領有権の認識が地球とは反対であると言うところなんかもニクい。


末尾の希望と勇気に満ちた終わり方もとても爽やかで、とても短い掌編であるのに、一人の男の(あるいは一組の兄弟の)成長を感じられる。

始めて読んだ作家さんだけども、とても好感が持てた。

SFは詳しくないので未読だが、矢野徹の「折紙宇宙船の伝説」を踏まえたタイトルのようで、矢野作品の方が気になってきた。

アンソロジー『夏色の想像力』(同人出版物)の方も気になる。







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by kogoroh27 | 2016-01-10 03:49 | 理山貞二